腰椎椎間板ヘルニアと診断され、腰痛と右脚のしびれを訴えた41歳男性のケース

椎間板ヘルニアと坐骨神経痛

このページは、実際の施術記録をもとに、個人が特定されないよう内容を整理して紹介しています。

来院時のお悩み

腰椎椎間板ヘルニアと診断され、腰痛と右脚のしびれを訴えた41歳男性のケース

症例概要

年齢・性別

41歳・男性

職業

会社員(営業職)

主な症状

右側の腰痛、右臀部〜大腿後面のしびれ

発症

約2週間前に急性の腰痛が出現

既往歴

20代前半に椎間板ヘルニア

仕事内容の特徴

営業職で長時間の自動車運転が多い

約2週間前から急に腰の痛みが強くなり、右側の鋭い腰痛と、右のお尻から太ももの後ろにかけてのしびれを訴えて来院された41歳男性のケースです。

医療機関ではX線・MRI検査を受け、腰椎椎間板ヘルニアと診断されています。鎮痛薬とコルセットを使用しながら仕事をだましだまし続けているものの腰痛は強く、右大腿後面のしびれも残っています。また、約20年前にも椎間板ヘルニアと診断された既往歴があります。

一方で、来院時に足先のしびれはさほど強くはなく、歩行時につまずくこと脚の筋力低下などはみられませんでした。そこで、MRIで確認された椎間板ヘルニアだけを症状の原因と決めつけず、痛み・しびれの分布、神経学的所見、腰の動き、日常生活で症状が変化する状況などを確認したうえで、当院での施術が可能かどうか判断しました。

この記事では、初回来院時に確認したこと、施術内容、その後の腰痛と右脚症状の経過をご紹介します。

来院までの経緯

この方は41歳の男性で、営業職として毎日のように長時間運転し、社内外でノートパソコンを使用する機会も多く、以前から腰の痛みを感じることが多かったそうです。

20代前半の頃にも腰椎椎間板ヘルニアと診断されたことがあり、その際も強い腰痛を経験していました。手術歴はなく、当時は主に鎮痛薬による治療を受けていました。

今回の症状が始まったのはおよそ2週間前です。明確なきっかけは思い当たらず、突然腰の痛みが強くなり、右側の刺すような腰痛と、右のお尻から太ももの後ろにかけてのしびれ感が続くようになりました。

医療機関を受診し、X線・MRI検査を受けた結果、腰椎椎間板ヘルニアと診断されました。鎮痛薬の服用とコルセットの使用によって仕事を続けていましたが、腰痛と右大腿後面のしびれが残っている状態です。

以前、福岡に住んでいた頃にカイロプラクティック施術を受けた経験があり、今回インターネットで当院を見つけて来院されました。初回来院時には、医療機関で撮影したX線・MRI画像の入ったCDを持参していただけました。

初回来院時の状態

初回来院時は、鎮痛薬を服用し、腰部をコルセットで固定した状態でした。歩いて来院することはできましたが、右側の腰に刺すような強い痛みがあり、右臀部から太腿の後ろにかけてしびれ感を訴えていました。

痛みの度合いを0~10のスケールで表してもらうと、7~8/10程度。発症直後は10/10だったので、次第に改善はしているようです。コルセットを外すと腰痛が強くなるため、この時点では無理に動かしたり、姿勢をチェックするようなことはせず、痛みを悪化させない範囲で状態の確認を進めました。

右脚のしびれは、臀部から大腿後面にかけてのしびれ感が目立っています。また、つま先立ちや踵で立つことはできる程度、筋肉に力は入ります。

そして、長時間の運転が多い仕事を発症後も続けており、鎮痛薬とコルセットを使用しながら何とか勤務している状態でした。ご本人からは、「すぐに完全に良くならなくてもよいので、まずこの痛みを少しでも和らげたい」というご希望がありました。

この段階では、MRIで腰椎椎間板ヘルニアと診断されていることだけを理由に施術方針を決めず、脚の症状が神経学的な所見とどの程度一致しているか、緊急性のある症状がないかを確認することを優先しました。

検査で確認したこと

初回来院時は痛みが強く、コルセットを外すと腰痛が増悪する状態だったため、通常行う姿勢チェックを無理に行わず、神経症状の有無と施術を行ってよい状態かどうかの確認を優先しました。

下肢への神経症状を確認

右臀部から大腿後面にしびれ感があったため、下肢伸展挙上テスト(SLR)などを行いました。

SLRでは、20~30°程度で症状が誘発され、ラセーグテスト、反対側から神経症状を確認するWLRテストでも陽性所見がみられました。また、Valsalvaテストで腹圧を高めた際も症状の変化が確認できました。

これらだけでは「椎間板ヘルニアが症状の原因」と確定できません。 症状の分布や筋力・感覚・反射、持参していただいたX線・MRI画像と合わせて状態を考慮します。

筋力・感覚・腱反射を確認

神経根への影響を確認するため、下肢の筋力、感覚、腱反射などをチェックしました。

右大腿後面のしびれ感は強いものの、膝より下から足の甲、母趾周辺にかけての感覚低下は目立たず、足趾の筋力低下も特に確認できませんでした。 歩行時のつまずきも特にありません。

腱反射もハンマーで検査し、症状の分布と神経学的所見が一致しているかどうかチェックしました。

馬尾症候群の有無を確認

腰椎椎間板ヘルニアでは、まれに中央部で複数の神経が強く圧迫され、緊急性の高い状態になることがあります。

そのため、

  • 股間のしびれなど感覚異常
  • 排尿・排便障害
  • 両脚の著しい筋力低下
  • 歩き方の急激な変化

の有無を確認ましたが、馬尾症候群を疑う症状はありませんでした。

持参されたX線とMRIも確認

MRI画像と共に、右側の椎間板突出とL5神経根への軽度の圧迫があるという記録も拝見しました。

ただし、右大腿後面のしびれが中心で、典型的なL5領域の感覚異常や筋力低下が目立たなかったことから、画像所見だけですべての症状を説明するのではなく、現在確認できる神経学的所見との一致をみながら判断しました。

腰椎・股関節周辺の筋肉の強い緊張

腰方形筋、腸腰筋、中殿筋、梨状筋など、腰・骨盤周辺の筋肉には強い緊張がありました。長時間の自動車運転や、それ以前から続いていた慢性的な腰への負担も関係していた可能性があります。

この患者さんの詳細な姿勢検査はおこないませんでしたが、横から見た腰の自然なカーブがなくなり、骨盤が後傾して腰が平らになった特徴的な立ち方をしていました。

検査結果を総合して施術の適否を判断

この患者さんには強い腰痛と右大腿後面のしびれがあり、神経根への圧迫を示唆する所見もみられましたが、直ちに医療機関で診てもらう必要があるような所見は特にありませんでした。

そのため、医療機関で下された診断とMRI画像所見を参考にしながら、症状を悪化させないようアジャストを行なう部位と力加減を調整し、経過を注意深く確認しながら保存的に対応することにしました。

KAWAEカイロプラクティックで行った施術

初回来院時は腰痛としびれが強かったため、症状を悪化させない範囲で身体を動かしやすくすることを優先しました。

神経学的所見や症状の変化を確認しながら、カイロプラクティック施術を進めました。当時の施術記録では、筋肉・軟部組織への施術、SOTブロックを用いた負荷の低い施術、腰部へのモビライゼーション系のテクニック、運動・生活動作のアドバイスなどを段階的に行っています。

初期は痛みを強く誘発しない方法から開始

初回はコルセットを外すとかなりキツイ状態だったため、腰部へ強い刺激を加えることは避けました。

アイシングや温熱、筋肉・軟部組織への施術を段階的におこない、強く緊張していた腰・臀部周辺の筋肉に対して、症状が悪化しない範囲でアプローチしました。

※SOTブロックは「骨盤のねじれを元に戻す」ためのものではなく、 身体を安定した姿勢で支持しながら、痛みを強く誘発しない範囲で骨盤・腰部周辺へ自重を使ったアジャストの一手段として使用。

状態を確認しながらアジャストメントを実施

無理に腰椎へ力を加えることは避け、必要に応じて仙腸関節、胸椎、頸椎にカイロプラクティック・アジャストメントを行いました。 当日の症状や身体の動きを確認しながら、強い痛みや脚のしびれ症状を誘発しない方法・強さを選択しています。施術中や施術後に脚への痛み・しびれが強くならないかどうか、その都度確認しました。

腰椎にはディスクパンプ・テクニックを使用

ディスクパンプ・テクニックは腰椎の関節と椎間板へ繰り返し穏やかな動きを加える手技ですが、椎間板ヘルニアを無理矢理押し戻すためのものではありません。

どんなものかというと、腰椎棘突起に施術者の指を当てた状態で、座位の患者さんにできる範囲で腰を丸めたり反らしたりしてもらいながら椎間板のスペースを拡げるモビライゼーションテクニックの一つです。椎間板の突出を減らす効果があります。

運転中の姿勢について指導

この患者さんは長時間の運転後に腰痛が強くなる傾向がありました。当院内での施術だけでは不十分なため、

  • 上半身を左に傾けたまま長時間運転しないこと
  • 腰が丸まったまま長時間座り続けるとヘルニアが悪化すること
  • 可能な範囲で途中に休憩を入れて腰を動かす必要性

などについてアドバイスしました。

仕事を完全に休むことが難しいため、実際の生活の中で症状を強く悪化させる負荷をできるだけ減らすことも対応の一部です。

症状が落ち着くにつれて運動療法を追加

初期の強い腰痛が落ち着いてきた段階で、運動量を徐々に増やすよう指導しました。

当時の記録を見ると、体幹を強くする運動として腹横筋を強くするエクササイズや、エクササイズボール、ストレッチポールなどを用いた運動を指導しています。

運動療法の目的は、ヘルニアそのものを治すことではなく、仕事や日常生活で身体を動かしやすくすることです。

症状の変化を確認しながら施術間隔を調整

初期は症状が強かったため短い間隔で状態を確認し、その後は症状の変化に合わせて、3日後、1週間後、2週間後と施術間隔を徐々に延ばしていきました。

施術を続けること自体を目的にするのではなく、痛みやしびれの変化、仕事への影響、神経症状の有無を確認しながら、その時点で必要な対応を判断するという方針で施術を進めました。

施術と経過

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初回

腰痛の強さが10段階で表すと7~8/10。右臀部から大腿後面にかけてのしびれが強い。
急なアジャストは避け、筋や腱の緊張を和らげ、モビリゼーション・テクニックで無理のない施術を心がけた。

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3日後

腰痛自体は軽減したものの、長時間運転で再び悪化。
前回の施術後には、腰痛の度合いが5~6/10程度に改善。今回の来院前日には、腰をかばう姿勢をとることも少なくなっていました。しかしこの日は仕事で箱根まで車で往復しており、長時間の運転後に腰痛が再び強くなってしまい、来院時の痛みの度合いは7/10でした。

その一方、初回来院時に目立っていた右大腿後面のしびれ感は改善。 この経過からも、症状は施術の前後だけで一定方向に変化するものではなく、長時間の座位や運転など日常生活での負荷によって増減していることが分かりました。

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7日後

腰痛と脚のしびれ感が改善。腰痛の度合いは3~4/10程度となり、本人からも「以前ほど気にならなくなった」とのお話を聞くことができました。車の座席の座り方を工夫してランバーサポートクッションを使用した結果、運転中の負担が軽くなったようです。腰・骨盤周辺の筋肉の過緊張も減り、側屈や回旋などの動きも行いやすくなってきたため、状態に合わせて体幹のエクササイズも治療に加えました。

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7日後

症状が落ち着いてきたため、来院間隔を1週間に延ばしています。

この時点では腰痛が5~6/10程度まで一時的に強くなっていました。仕事で自動車を運転する時間が長くなると、やはり腰がつらくなる状態が続いています。

一方、腰を強く丸めたり右側へ曲げなければ、右大腿後ろの痛みは1~2/10程度で、脚の症状は初回来院時よりかなり軽減しています。

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7日後

さらに1週間後の5回目には、長時間運転したあとの疲労感は残るものの、発症当初のような強い腰痛はみられなくなっていました。

本人の申告では、

  • 腰痛の度合い:3/10程度
  • 右大腿背側の症状:1~2/10程度

となり、脚の症状は「何となく気になる程度」まで軽くなりました。

症状の経過が安定してきたため、次回は2週間後とし、来院間隔をさらに延ばしながら状態を確認することにしました。

この症例から考えられること

この症例では、医療機関で腰椎椎間板ヘルニアと診断され、MRI画像でも神経根への圧迫が強く疑われる状態でした。

実際の症状は右臀部から大腿後面のしびれが中心で、典型的なL4~L5領域の感覚異常や明らかな筋力低下はありませんでした。

そのため、「MRIにヘルニアがある=現在の症状はすべてそのヘルニアが原因」と単純に結びつけるのではなく、画像所見と現在の症状、神経学的所見、症状が変化する動作などを合わせて考える必要がある症例でした。

脚のしびれがあるからといって、すべてを「坐骨神経痛」でまとめるわけではありません

お尻から脚にかけて痛みやしびれがある症状は、一般的に「坐骨神経痛」と呼ばれることがあります。この患者さんの場合も右大腿後面にしびれがありましたが、症状の分布だけで障害されている神経根を断定することはできませんでした。

そのため、しびれる場所だけではなく、筋力・感覚・腱反射などを含めて評価しながら施術をおこないました。

営業車の長時間運転が症状の変動に影響

この患者さんは営業職で長距離運転が多く、施術後にいったん症状が軽くなった後でも、仕事で長時間運転をすると腰痛が再び強くなることがありました。症状の経過が施術を受けたかどうかだけで決まるものではなく、仕事や日常生活で加わる負荷によっても変化することを示唆しています。

そのため、カイロプラクティック施術だけではなく、座り方や姿勢を変えること、同じ姿勢で同じ筋肉が固くならないように運動療法で軽く動かしてあげることも考える必要がありました。

自然経過による症状の改善もあり

初回来院時から5回目までの間に、腰痛と右脚の症状は全体として軽くなりました。

ただし、急性腰痛や腰椎椎間板ヘルニアに関連する神経根症状は、時間の経過とともに自然に改善していく場合があります。

そのため、

「カイロプラクティックでヘルニアが治った」
「アジャストメントによって椎間板が元に戻った」

と、断定することはできません。

この症例では、自然経過、薬物療法、活動量の変化、運転時の着座姿勢の工夫、運動療法、カイロプラクティックによる施術など、複数の要素が関係した可能性が高いです。

腰痛や脚のしびれでお悩みの方へ

腰痛に加えて、お尻から太もも、ふくらはぎ、足先にかけて痛みやしびれがある場合、腰椎椎間板ヘルニアや骨の変形による神経根への刺激が関係していることがあります。

その一方で、脚にしびれの症状があるからといって、必ずしも椎間板ヘルニアがあるとは限りません。

股関節や臀部の筋肉・腱、末梢神経などが原因となって似た症状が現れることがあるため、画像所見だけではなく、実際の症状や神経学的所見を合わせて確認することが重要です。

KAWAEカイロプラクティックでは、

  • 腰痛や脚の症状がいつから始まったのか
  • 痛みやしびれがどこからどこまで広がっているのか
  • 腰の動きで症状が変化するかどうか
  • 筋力・感覚・腱反射に変化がないか
  • 歩行や日常生活にどの程度影響しているか
  • 医療機関でMRI検査などを受けているか
  • 症状が改善傾向なのか、悪化しているのか

などを確認し、カイロプラクティックによる施術が適している状態かどうかを判断します。

当院では、「椎間板ヘルニアを押し戻す」「ずれた骨を元に戻す」ことを目的に施術するわけではありません。

必要に応じて腰椎だけでなく、骨盤・股関節・臀部周辺なども確認し、状態に応じてカイロプラクティック・アジャストメント、筋肉や軟部組織への施術、日常生活や運動についてのアドバイスを行います。

また、医療機関ですでに診断や治療を受けている場合には、その方針を尊重しながら対応します。

特に、

脚の筋力低下が進んでいる、両脚のつよいしびれなどがある、股間の感覚が鈍い、排尿障害、排便障害

などの症状がある場合には、カイロプラクティックによる施術よりも医療機関での受診を優先する必要があります。

「MRIで椎間板ヘルニアと言われたが、現在の症状との関係が分からない」「腰痛だけでなく脚のしびれもあり、施術を受けてよい状態なのか確認したい」といった場合も、ご相談ください。

現在の症状と神経学的な状態を確認したうえで、当院で対応できる状態か、医療機関での評価を優先した方がよい状態かをご案内します。

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⚠️症例報告について

この症例は、お一人の患者さんの施術経過をご紹介したものです。

症状の原因や身体の状態、施術への反応には個人差があり、同じような症状の方が必ず同じ経過をたどる、あるいは同じ結果が得られるというものではありません。

強い頭痛や、手足のしびれ・筋力の低下、急な症状の悪化などがある場合は、カイロプラクティックの施術よりも先に、医療機関での検査や診察を受けていただくことをおすすめします。

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著者紹介 / 院長プロフィール

Kawae Noriaki, D.C.のアバター Kawae Noriaki, D.C. Doctor of Chiropractic

Cleveland University-Kansas City 2003年卒。Doctor of Chiropractic取得。カリフォルニア州開業免許および同州X線技師免許を取得後、アメリカ現地にて4年間の臨床経験を積む。2006年の日本帰国後は、大川カイロプラクティック専門学校にて講師を務め、後進の育成にも尽力。2008年、さいたま市浦和区に「KAWAEカイロプラクティック」を開業。
20年以上の豊富な臨床経験と、国際基準の専門知識(Doctor of Chiropractic)をもとに、お子様からご年配の方、妊娠中や産後の赤ちゃん連れの方の慢性的な腰痛や肩こり、自律神経の不調まで幅広く対応しています。

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