薬剤性ジストニアによる筋肉の融解とそれに伴う緊張と身体のゆがみ

薬剤性ジストニア
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いくら背骨のゆがみをアジャストしてもまた元に戻る理由が判明

症状:全身の慢性的なだるさ。身体がねじれる感じがする。
年齢・性別・職業:
Aさん 34歳・女性・会社員
経緯:身体のゆがみが気になるという事で当院で定期的に施術を受けていた患者さん。実は抗うつ薬の服用による副作用で筋肉が溶けている事が判明。

まとめると:
●最初は(2020年頃)身体のゆがみを直したいということで通っていただいていた。
●しばらく間隔が開き、久しぶりの来院は赤ちゃん連れでした。
●育児疲れで大変そう。
●産後の骨盤矯正をメインに、首や背中の詰まり感の改善を目指す。
●しばらく施術を継続し、いくら上手く背骨をアジャストしてもすぐに同じ症状が出てしまう。
●骨盤のゆがみは完治したものの、首と肩甲骨の間の背骨がいつも同じ方向にねじれる。
●Aさんも「どうしても身体がこっちにねじれちゃうんですよ」とおっしゃる。
●本当の理由が分からず、赤ちゃんの抱っこなど育児の負担が原因だろうと推測して施術を継続。
●実は抗うつ薬を服用していて、その薬の副作用で筋肉が溶けていることが判明。

それからどうしたか

Aさんが病院で血液検査を受けたところ、「筋肉が溶けている」と言われたそうなので、おそらくクレアチンキナーゼ (CK)の値が上昇しているのでしょう。服用している抗うつ薬の副作用として筋肉の融解が起こっている事が判明したので、これからその薬の量を減らすかどうにかするそうです。

薬が原因で筋肉が弱くなりその反対側が固くなる

筋肉が溶けるといっても全身の横紋筋が均等に溶けるわけはなくて、背骨を中心線として考えると左右で溶ける場所や量に違いがあるはずです。ある部分では筋肉の量が減り、その反対側では逆に負担が増して筋肉が異常に緊張してしまったりします。この自分では制御できない筋肉の持続的な緊張のことを「ジストニア」といいます。薬が原因だと「薬剤性ジストニア」ですね。

Aさんの場合は薬を飲み始めてからのジストニアなので、ひどい痙攣や震え、斜頸など、パッと見てわかる症状はありません。「なんだか身体がねじれる」という自覚症状と首や背中の上の方の詰まり感だけでした。

その固い筋肉と共にゆがみがあるのでアジャストを繰り返すも効果が薄い

カイロプラクティック的に検査すると、下位頸椎と上位胸椎にゆがみ、可動域の低下と筋肉のコリが見られるのでそこをいつもアジャストしていました。アジャスト自体はいつも上手くいくのですが、何度同じ治療をしてもまた同じ状態に戻ってしまうことの繰り返しでした。この理由がずっと分からなくて、「お子さんがよくカゼをひいているのでその看病や抱っこなどの育児疲れで同じ症状が繰り返し現れるのかな?」と思っていましたが、実はそうではなかった!

薬剤性のジストニアと診断されたと聞いて、ようやくいつも背骨の同じ部位が同じ様にゆがんでしまう理由が分かったのです。いつも下位頸椎の右側と上位胸椎の左側の筋肉が固く緊張しているので、その反対側の筋肉が触診では分からない程度に溶けているのでしょう。CTだと分かるのかな?

薬が原因で筋肉が部分的に溶けて弱くなり、背骨を中心線としてその反対側の筋肉が制御できない緊張を見せているジストニアによって背骨がねじれて曲がる状態です。育児疲れで背骨がゆがんでいるわけではなく、薬が原因だったので、その薬の服用を減らすかストップしなければ同じ状態がずっと続くでしょう。病院ではボトックス注射をしたり、溶けて弱くなった筋肉をリハビリで強くする治療を受けているそうですが、抗うつ薬を止めるか減らすか変更するかしないと同じ事が続くでしょうね。

カイロプラクティックによるアジャストも、本件のようなジストニアによってできた背骨のゆがみを直すことはできるのですが、筋肉の緊張の度合いが左右で異なる現象が薬によって引き起こされている場合、またすぐに同じゆがみが同じ場所で発生してしまうでしょう。

薬剤性ジストニアによる背骨のゆがみがひどくならないようにメンテナンス

というわけで、何度も繰り返し同じゆがみが背骨の同じ部位に現れてしまう理由が分かったため、病院でどのような治療を受けているのかを尋ねつつ、背骨と骨盤のゆがみがひどくならないようにメンテナンスケアを継続することにいたしました。

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Kawae Noriaki, D.C.
Cleveland University-Kansas City 2003年卒。Doctor of Chiropractic取得。カリフォルニア州開業免許およびカリフォルニア州X線技師免許取得後、現地で4年間臨床経験を積む。 2008年、さいたま市浦和に KAWAEカイロプラクティック開業。
薬剤性ジストニア

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