産後4ヶ月、骨盤周りのサイズが元に戻らないので何とかしたい

症状:肩こり・骨盤の違和感
年齢・性別・職業:
Nさん 32歳 女性 ナース
経緯:
以前から肩こりや腰痛は普通にあった。妊娠中から脚のつけ根の痛みが気になりだしたが、産休に入って一旦楽になった。産後はだっこをしていると肩こりがつらい。腰痛も多少あり、骨盤の開きを育休中にしっかり治したい。
まとめると:
●総合病院のナースさんで、仕事柄いつも腰が痛かった気がする。
●妊娠してから部署が替わり、腰は楽になったもののPCの入力作業が多くて肩こりがひどくなった。
●妊娠中、右脚のつけ根の前と左のお尻に鋭い痛みが走ることが良くあった。今は大丈夫。
●産後の骨盤の開きが一番気になる。
●妊娠前の体重に戻ったが、以前履いていたパンツが引っかかって履きづらい。

初回来院時の状態:
4ヶ月前に通常分娩で第一子を出産後、骨盤の開き・ゆがみが気になるという事で来院。以前から肩こりと腰痛があるものの、慢性的なもので気にしなければ何とかなる。体重は元に戻ったのにパンツが引っかかる。体型を妊娠前の様に戻したい。
カウンセリング・検査:
Nさんは総合病院のナースさんで、入院患者さんのトランスファー時に腰を痛めることがよくあったそうです。
妊娠してから部署が替わり、パソコンでの入力作業が主になったため肩こりがひどくなったが、周囲の同僚も皆同じ様な肩こり・腰痛持ちだったのであまり気にしていなかった。産休に入ると腰痛・肩こりは軽減。お腹が大きくなるにつれ、脚のつけ根、股関節の痛みが強くなり、立ち上がる瞬間の痛みがつらかった。産後は脚のつけ根の痛みが消えたので助かっている。体重は妊娠前と同じ状態に戻り、腹筋の運動などもするように努力しているものの、体型が妊娠前とは明らかに違うので何とかしたい。産後は骨盤の開きをしっかり治しておいた方が良いと同僚の友人にアドバイスされたので当院にお越しいただきました。
まず立位で姿勢をチェックしてみると産後の女性特有の立ち方をしていて、骨盤の前傾と腰の反りが非常に目立っています。お腹を前に突き出して、お尻が後ろに出た状態。骨盤の左右の高さに違いがあり、右に傾いています。右脚のつけ根の前をチェックすると大腿四頭筋のつけ根が左側と比べて固い。左殿部をチェックしてみると、梨状筋にトリガーポイントがあって押すと痛そうです。骨盤の右側の関節の可動域の少なさと鈍痛が目立っています。
分析:
骨盤の関節(仙腸関節)の動きや変位をチェックしてみると、右側仙腸関節の可動域が減少し、PI-INのサブラクセーションがある。右脚が見かけ上短くなるため骨盤が右に傾き、バランスを取るため左側の腰の筋肉が固くなっています。骨盤のねじれが脚長差に繋がり、筋肉のトリガーポイントを生みだして腰痛や脚のつけ根の痛みの原因となるパターンで、このタイプの骨盤のゆがみは当院の患者さんに多いですね。固くなりやすい筋肉は右側の大腿四頭筋と左側の中殿筋や梨状筋などで、Sさんの自覚症状と合致しています。梨状筋が固すぎて座骨神経痛が現れる事も多いですが、このケースではそこまでひどくなないようです。産後4ヶ月という事なので、骨盤がゆがんだまま固まってしまう事を避けるようにしたいと思います。骨盤のねじれの他、骨盤の前傾も目立っているので筋トレやストレッチの指導も行う必要があります。
プラン:
妊娠中に固くなっていた梨状筋、大腿四頭筋をしっかりほぐしてその他のトリガーポイントをリリース。骨盤のねじれ、前傾をアジャストとストレッチの組み合わせで調整。肩こり改善のため肩甲骨の間の胸椎もしっかりアジャストする。
1回目(当日): 鍼灸治療などを受ける前と比べると良くなっているとはいえ、首肩周りの筋肉はガチガチ。今現在の身体の痛みの度合いを尋ねると8-9/10。僧帽筋のトリガーポイントを押すと後頭部の頭痛が「ズーン」と現れる。同じような関連痛(Reffered pain) が現れるトリガーポイントがあちこちにある。C1・C5・T5をアクティベーターで調整。C1のゆがみは無くなって可動域も正常になったものの、おそらく筋肉の固さにクセがあるのでまた元に戻るでしょう。肩こりエクササイズをお教えして、仕事中は1時間に1回やっていただく。次回はあまり間隔を空けずに来ていただきます。
2回目(2日後):痛みの度合いは10点中6-7点。前回と同様の手順で施術をおこなった。C1、C5、T5にアクティベーター、L5、骨盤をアジャスト。
3回目(3日後):痛みの度合いは6/10。朝は良かったものの、夕方になってくると身体がダル重くなってくる。横向きで寝るのが好きだということで、オススメしておいた高さのある枕と抱き枕を使い始めてくれたそうです。C1、C5はアクティベーター、胸椎と骨盤はマニュアルでアジャスト。
4回目(3日後):この1週間、お腹のグルグルする感じや軟便が無い!と喜んで報告していただけました。座位で胸椎の可動域をチェックすると、初回の来院時と比べて明らかに動きが良くなっています。肩甲骨の間の詰まった感覚も少なくなったそうです。アクティベーターを使わずに一通りアジャスト。次回は5~7日後くらいで。
5回目(5日後):痛みの度合いは5/10。前回の施術の後、肩をグルグル回しても引っかかる感じが無くなって首肩がスッキリした。最初に考えたとおり、かなり慢性的な症状を一発で治すのは難しいため、引き続き当院で治療を受けてもらいます。次回は7日後、様子を見ながら10日後、2週間後と来院頻度を徐々に拡げていきたいと思います。
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