【骨盤のはなし2】骨盤の歪みについて教えて!

骨盤のゆがみとは骨の配列の乱れのことです
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「骨盤の歪み」とは骨盤の骨のアラインメントの乱れのことです

当院の患者さんの多くは、骨盤の「開き」や「ゆがみ」を訴えて来院されます。特に産後の育児中の女性に多いですね。一般の方は骨盤が本当に横に広がっていたり、骨そのものがゆがんで変形している状態を想像されるみたいですが、実際にそのような状態になっている方はごくまれです。本当に骨盤が「開いて」いると、まず自力で歩いてこられません。

しかし「骨盤が開いている」とか「骨盤が歪んでいる」と感じて、骨盤矯正を受けに来られる方は実際に多いのですが、これは一体どういうわけなのでしょう?

骨盤の歪みは骨盤の前傾・後傾とねじれからなる

骨盤の骨と関節

骨盤は仙骨と左右の寛骨で構成されていて、恥骨結合・左右の仙腸関節・左右の股関節、そして腰椎と仙骨をつなぐ腰仙関節の6つの関節から成り立っています。要はこれらの関節が骨盤の歪みや開きの原因となるのですが、まず大きな歪みの方向として骨盤そのものの前傾と後傾があります。妊娠中や産後の女性は骨盤が前傾して反り腰になり、腰痛や骨盤の開きを訴えることが多いです。それに対して、イスにいつも浅く座って背中が丸まるクセの強い人は骨盤が後傾しているため、椎間板ヘルニア気味だったり、背中の丸まりが強くなって肩こりの方がひどかったりします。

骨盤の前傾と後傾

そして次に指摘すべき骨盤の歪みは、仙腸関節に原因がある骨盤の「ねじれ」による歪みです。脚を組むクセや、片足にいつも体重をかけて立つクセがあったりすると、仙腸関節がフィクセーションを起こして骨盤がねじれたままになるクセがついてしまいます。この骨盤のねじれは左右の脚の長さの違いにつながり、傾いてしまう上半身を修正するため筋肉の力の入り方が左右で異なってしまい、骨盤のゆがみもしくは身体のゆがみとして感じられてしまうでしょう。

まとめると、骨盤の歪みとは骨盤を構成する骨のアラインメントの乱れであり、骨盤の関節の動きに左右で違いがあることから来ています。まず骨盤の前傾もしくは後傾があり、そこに骨盤のねじれが加わることで、骨盤の開きや歪みを感じてしまうのです。

産後に多い、骨盤の前傾と反り腰による「骨盤の開き」

産後の女性に多い骨盤の開きとは、骨盤が前傾しすぎている状態を指します。骨盤の骨の前の出っ張りが前方へ突き出し、へその辺りのお腹が前に突き出され、逆にお尻は後へ突き出されて反り腰になった状態です。こうなっていると、妊娠前に履けていたパンツを履く時にお尻などに引っかかって履きづらくくなってしまい、「妊娠と出産で骨盤が開いてしまった」と感じてしまうのです。見た目上の開きですね。本当に骨盤が広がっているわけではありません。反り腰だと腰の筋肉が緊張しているため、そこへさらに赤ちゃんの抱っこが加わると腰痛がひどくなるでしょう。

また、ヒールがある靴を履き続けると踵が上がるため、骨盤は前傾して反り腰が強くなり、背中の上部が丸まりやすくなります。自分の姿勢を意識していない若い女性に多い反り腰&猫背の典型的な姿勢がこれ。この時、お腹を凹ませる腹横筋を使って腹圧を高めると背骨をしっかりと支えられるため、頭の位置もしっかり意識すればモデルのようなスラリとした立ち方が出来るのですが、なかなかそういう人は少ないようです。

骨盤のねじれからくる骨盤の歪み

次に、骨盤のねじれからくる歪みですが、これは男女問わず年齢も関係なく誰にでも起こります。特によくある原因としては脚を組むクセ片足に体重をかけて立つクセが挙げられます。AT車を長時間運転することでも骨盤のねじれのクセが生じますし、いつも決まった側の肩にショルダーバッグを下げる人はその反対側の腰の筋肉が固くなり、腰椎の機能的な側弯が発生し、骨盤のねじれにつながるでしょう。座っている時に片膝を立てたくなる人や片方の脚ばかり「あぐら」の状態にしたくなる人は骨盤のねじれがすでにあります。

骨盤のねじれの何が悪いかというと、ねじれによって股関節の高さに違いが生じてしまい、それが見た目上の脚の長さの違いに繋がってしまうのです。脚の骨の長さが変わるわけではありませんが、例えば骨盤のねじれの歪みのせいで右脚が1cm短く見えるなんて事はザラにあります。すると骨盤や腰椎の左側の筋肉に負担がかかるようになり、筋肉痛としての腰痛や骨盤の痛みが発生してしまうんですね。そして動きの悪くなっている仙腸関節は力がかかると痛く感じます。

正しい骨盤の位置は?

骨盤のゆがみとは骨盤の前傾・後傾・ねじれの組み合わせであることが分かりました。普段の立ち方や座り方などで骨盤のねじれの歪みが発生した場合、脚長差は自分自身で客観的に調べることができないため、カイロプラクティックのクリニックなどでチェックしてもらう必要があります。訓練された人なら「ブロッキングテクニック」などで自分の骨盤の歪みを直すことも可能ですが、一般の人には無理ですね。

それに対して骨盤の前傾・後傾はある程度自分自身で意識して調節することは可能です。正常な骨盤の位置はどの辺なのかというと、後傾せず、前傾しすぎない、ちょっと前傾した状態です。角度でいうと、5°~15°前傾した状態¹。骨盤の腸骨の一番前に張り出した出っ張りを「上前腸骨棘 (ASPS)」といいます。そして上前腸骨棘から腸骨を後へ辿ってゆくと、ASPSほどではないにしろ小さな突起を感じられる。これを「上後腸骨棘(PSIS)」といいます。この2点を結んだラインと水平線が作る角度が5°~15°に収まっていれば、正常なちょっとだけ前傾した状態であると言えます。これより角度が大きければ骨盤は前傾状態、角度が小さければ後傾状態ということになります。

参照:

  • 1. Neumann DA. Kinesiology of the Musculoskeletal System: Foundations for Physical Rehabilitation. 3rd edition. St. Louis, MO: Mosby; 2016.
骨盤のゆがみとは骨の配列の乱れのことです

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