あごが痛い:顎関節症について

顎関節症について
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顎関節症(TMJ: TemporoMandibular Joint Disorders)とは何ぞや

顎関節症

首・肩のコリや頭痛などと共に良く見られる顎関節症は、顎の関節の周りに発生する痛みや違和感などの障害を総称したものです。口を開け閉めする際にコキッと音がしたり関節やその周りの筋肉が痛むのが特徴です。非常に多くの人々に見られる症状で、総人口の約半数が何らかの形で顎関節症を患っていると推測されています。症状の原因や程度は様々で4:1の割合で女性に多く、20~40代の年齢層に多いのが特徴です。

顎関節症の原因は?

  1. 顎関節の中には関節円板という軟骨状のクッションがあり、頭蓋骨と下顎の間の動きをスムースにする働きを担っています。関節円板が何らかのキッカケで引っかかってスムースに動かなくなると、円板周囲に炎症が起きたり顎を動かす筋肉に無理な力が掛かるようになって痛みが出ます。
  2. 睡眠中の歯ぎしり、精神的な緊張による歯の食いしばりによる圧迫
  3. 顎関節周りの筋肉の過緊張
  4. 殴打、交通事故などによる顎への強い衝
  5. キチンと合っていない入れ歯、悪い噛み合わせのままの生活

など、顎関節に痛みを引き起こす原因は様々で、複数の要因が重なり合っている事も多いです。

顎関節症の症状

顎関節症

特に食事などで顎を動かす時、大半の患者さん(80%)が顎関節とその周りに痛みを感じます。顎を動かす筋肉は側頭部にも繋がっているので頭痛という形で症状が出たり、猫背など姿勢の問題とも絡んで首・肩の筋肉のコリから来る痛みが出る事もあります。痛みを感じないケースもありますが、その場合は顎の関節の可動域が小さくなって口を大きく開ける事が出来なかったり、顎関節からコキッコキッと音がすることから顎関節症であることが判断出来ます。

患者さんからの訴えに基づいて顎関節症が疑われる場合、顎関節の動きや周りの筋肉の固さなどを触診しますが、病院ではX線写真やMRIの撮影を用いて診断を下します。口を大きく開けた時、上下の前歯の間隔は最小でも40mm程開けられるのが普通ですが、指が縦に2~3本入らない場合、明らかに顎関節の可動域が少なくなっている事が分かります。また外耳道の入口や顎関節の外側に指をあてて関節の動きを触診したりします。関節の動きを左右で比較してみると痛みのある側の動きが特に悪くなっているのが感じられます。その場合、患者さんに口の開け閉めをしてもらうと、下顎の動きが左右ジグザグになっていることが多いです。

対処法

歯科・口腔外科ではまず歯並び・噛み合わせをチェックして問題のあるところを削ったりかぶせ物を作って処置します。歯ぎしりがひどくて筋肉が緊張しすぎているなどと判断された場合は、就寝中に使うマウスピースが処方されます。痛みや炎症を抑えるための薬を処方されたり、外科的手術を行うケースもあります。それ以外に手技療法的な対処法として挙げられるのが、

  • 咬筋や側頭筋など顎を動かす筋肉へのトリガーポイントセラピー
  • 温熱療法や電気療法による筋肉の緊張緩和
  • 固く強ばった首の筋肉へのマッサージ
  • 頸椎・上部胸椎の調整
  • 姿勢の改善

などです。

当院へは首・肩のコリや頭痛などと一緒に顎の痛みを訴える患者さんが多くいらっしゃいます。歯列の矯正中でも施術が可能ですので、矯正具の装着に伴う顎の周り・首・肩・背中の上部の痛みなどにお困りの方はどうぞお気軽にお問い合わせ下さい。

参照:

  • TMJ disorders. National Institute of Dental and Craniofacial Research. http://www.nidcr.nih.gov/oralhealth/topics/tmj/tmjdisorders.htm
  • Laskin DM. Temporomandibular joint disorders. In: Cummings CW, et al. Otolaryngology: Head & Neck Surgery. 4th ed. Philadelphia, Pa.: Mosby Elsevier; 2005.
  • Chiropractic care of a patient w/ TMD and atlas subluxation. JMPT 2002(Jan); 25(1): 63-70
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