ズキンズキンと脈打つような頭痛が片方に現れる片頭痛(偏頭痛)

片頭痛について
目次

片頭痛とはどんな頭痛なのか、その特徴と対処法

片頭痛ではズキンズキンと脈打つような痛みが、その名の通り頭部の片側に生じるのが基本的なパターンです。緊張性頭痛よりも強い痛みを伴います。吐き気をもよおすこともあり、強い光や音、においなどがキッカケで悪化するケースも多く、視野の欠損など視覚障害(オーラ)を伴うと日常生活に支障をきたすでしょう。

  • 片頭痛の20%:主に視覚の異常をともなう前駆症状(前兆)があり、続いて頭痛が発生。
  • 片頭痛の80%:前駆症状無しで片頭痛が発生。
  • 特に思春期では女子に多く片頭痛が発生するため、エストロゲンも片頭痛の引き金の一つだと考えられています。

片頭痛の前駆症状とは何か?

片頭痛:前兆としての閃輝暗点(せんきあんてん、オーラ)
#alt_tag

片頭痛持ちの患者さんの内、約20%の方が片頭痛の前に「頭痛が起こりそうだ」という感覚が生じます。どんな感覚かというと、主に視覚・嗅覚・平衡感覚・言語機能において一時的に異常が発生します。よくあるのが視覚の異常で、チカチカする光・ギザギザに走る稲妻のような光・視野に見えない部分(視野の欠損)が出来てその周囲が光っている状態などがよく報告されています。

小さかったギザギザな稲妻が大きくなってくるパターン。

視界が狭くなり、トンネルに入ったような感じがするパターン。

その他、においに刺激を受けて調子が悪くなったり、バランス感覚の失調によるめまい、言葉がうまく出てこない状態などもあります。こうした前駆症状が片頭痛の特徴ですが、片頭痛持ちの大半の人(80%)には出現しません。

片頭痛の原因:何かしらトリガー(引き金)となるものがあり、血管もしくは神経に痛みの原因が発生する

まず神経細胞が刺激されやすく、電気的な活動が強くなりやすい人は視覚・嗅覚・バランス感覚・言語機能など脳が司る機能に一時的な障害が起こりやすいといえます。例えば血液中のマグネシウムイオン濃度が腎臓の障害などで低くなると細胞膜の機能が不安定になって刺激を受けやすくなるのですが、それが神経細胞で起こるとEEG(脳波計)検査で分かるような異常につながります。例えば第V脳神経(三叉神経)が刺激された場合、分かりやすい片頭痛の症状が出ます。三叉神経は前頭部・眼・鼻・あご・側頭部などにつながっていて、これらの部位の神経が刺激を受けすぎると痛みや炎症を引き起こす物質が血管に放出されてしまいます。これが神経の過敏な人に片頭痛が起こりやすい理由です。

自律神経と片頭痛

次に、自律神経の問題からくる片頭痛もありえます。自律神経は交感神経と副交感神経から成り立っていて、昼と夜、活動量などに応じて活発な神経が切り替わって身体の機能を整えてくれます。仕事や試験、運動などで緊張していると交感神経が優位な状態で、例えば側頭部の血管は収縮して血液の流れる量を抑えています。それが週末で仕事を終えた後や試験の後、運動の後などホッと気が抜けたりすると副交感神経の方が優位になり、収縮していた側頭部の血管が急に拡張します。すると急に血液の流れる量が増えてズキンズキンと脈打つような状態になり、さらにもともと側頭筋や前頭筋などが固かったりすると、その筋肉が刺激をうけてズキズキと余計に痛むようになります。緊張していた時とリラックスしたときの落差が激しい場合、このパターンの片頭痛がよく起こりそうです。

低気圧と片頭痛

また、天気が悪くなると片頭痛が起こるという患者さんもいます。人間の身体は約60%が水で出来た袋だと考えてください。血液などの体液が流れ出していなければ袋の中の圧力、つまり血圧は一定です。天気が悪くなる時はつまり低気圧が近づいている時であり、身体の外側の気圧が急に下がったりします。するとどうなるかというと、富士山の山頂に持っていったペットボトルと同じ様に身体が少し膨らみます。同時に血管も少し拡張するため、頭部のこりかたまった筋肉が血管からの刺激を受けるとズキズキする頭痛が起こるでしょう。

片頭痛は基本的に片方で起こるが、両側で起こる場合もある

ちなみに上に挙げた3つの片頭痛のパターンは左右両方同時に起こる可能性もありますが、実際は左右どちらか片方に起こることが多いです。それはどうしてかというと、側頭筋の緊張の度合いが左右で違うところから来ています。片頭痛の患者さんの頭部の筋肉、特に側頭筋を触診してみると、必ずと言っていいほど片頭痛が発生する側の側頭筋が固くなっています。側頭筋だけではなく、前頭筋や後頭筋、顎の咬筋や肩の僧帽筋なども同じ側が反対側と比べると固いですね。左右の側頭筋の固さが違うと、神経や血管による刺激を受けた時の痛みの度合いが違うのでしょう。つまり左右の筋肉の固さにあまり違いが無ければ、片頭痛が両側で発生することもありえるのです。

片頭痛のトリガー(引き金)

神経に刺激を与えたり、血管の収縮・拡張に影響を与えるものとして以下のトリガー(引き金)があると言われています。

  • ストレスによる自律神経の乱れ(睡眠不足など):ストレスが解消されると片頭痛が発生
  • 気圧の急激な低下(低気圧や台風の接近時など):血管の拡張による片頭痛
  • 赤ワインチーズ、カカオ、たらこ、サラミ、ソーセージなどのチラミンを多く含む食物:摂取量が多いと交感神経が興奮し、血管が収縮して血圧が上昇する。その後チラミンの効果が薄れると頭痛が現れる。
  • ニトログリセリンエストロゲン(避妊薬)の服用:血管が拡張する
  • 強い閃光や匂い:交感神経の強い興奮を引き起こし、血管の収縮と血圧の上昇が見られる。その後、血管が拡張して元に戻ると頭痛が現れる。

片頭痛の治療:筋肉の緊張を和らげ、関節の動きを良くする

首肩のほぐし

片頭痛を完治させることは難しいですが、ひどくならないようにコントロールすることはできます。薬物療法が通常の選択肢ですが、片頭痛のきっかけとなるストレスのコントロールや、元々こり固まっている頭部~首~肩~上部胸椎の筋肉の緊張をほぐす事も大切でしょう。当院の患者さんで片頭痛もあるとおっしゃる方はやはり首肩周りの筋肉がガチガチに固くなっています。そうした筋肉のこりが片頭痛に影響を与えているようで、頸椎や上部胸椎を矯正(アジャスト)することで片頭痛を緩和させ、ひどくならないようにコントロールします。片頭痛持ちの患者さんが鎮痛剤などを服用するのを私は否定しませんので、それと併せてカイロプラクティックも利用して片頭痛の改善に努めてみましょう!

参照:
  •  Bronfort G, Assendelft WJ, Evans R, Haas M, Bouter L. Efficacy of spinal manipulation for chronic headache: a systematic review. J Manipulative Physiol Ther. 2001;24(7):457-466.
  • Demirkaya S, Vural O, Dora B, Topcuoglu MA. Efficacy of intravenous magnesium sulfate in the treatment of acute migraine attacks. Headache. 2001;41(2):171-177.
  • Mauskop A, Altura BT, Altura BM. Serum ionized magnesium levels and serum ionized calcium/ionized magnesium ratios in women with menstrual migraine. Headache. 2002;42(4):242-248.
  • Tuchin PJ, Pollard H, Bonello R. A randomized controlled trial of spinal manipulative therapy for migraine. J Manipulative Physiol Ther. 2000;23(2):91-95.
  • 農林水産省消費安全局, 発酵食品中のヒスタミン及びチラミン濃度の調査及び経口暴露量の推定(第108回日本食品衛生学会学術講演会, 2014.12)https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/papers_posters/pdf/108th_eisei2.pdf

片頭痛について

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よければシェアしてくださいませ~
  • URLをコピーしました!

コメントをどうぞ

コメントする

目次