次亜塩素酸ナトリウム溶液スプレーの自作

消毒液の自作

当院の施術用ベッドやドアノブなどは塩素系溶液とエタノールで消毒をしっかりしています。開業以来、市販のものを使っていましたが、買い置きしていたクレベリンのスプレーがとうとう残量ゼロになってしまったので、在庫が豊富なハイターを使って消毒液を自作してみました。クレベリンは二酸化塩素溶液(化学式 ClO₂)で、ハイターなど次亜塩素酸ナトリウム(化学式 NaClO)よりも酸化力が強いのが特徴ですが、お値段高めですね。

用意したもの

次亜塩素酸ナトリウム溶液スプレー自作

いつもの癖で業務用ハイターの5リットル入りを買ってしまいましたが、一般家庭ではハイター600ml入りで十分です。ハイター600mlがあればスプレーボトル150個分作れます。5リットルだとスプレーボトル1250個分(笑)。保存容器としての遮光ボトルはあっても無くてもどちらでもいい。ろうとは持ち手があると使いやすいです。計量スプーンは今回の様に500ml溶液を作るのであれば5ccのスプーンがいいです。一般的なスプレーボトルは容量400mlなので溶液を400mlちょうどで作りたい場合は4ccの計量スプーンがあると正確に計れます。ちなみに1cc=1ml。スプレーボトル自体は自宅にあった空の重曹スプレーのボトルを流用。塩素は紫外線が当たると分解されるので、保存容器は写真のような色が濃いものを使うといいです。基本的に日光や蛍光灯の光が当たらない暗所に保存すれば大丈夫。

次亜塩素酸ナトリウム消毒液の作り方

新型コロナウイルス対策用の次亜塩素酸ナトリウム溶液の濃度は0.05%が推奨されています。使うハイターの量を求める計算式は以下の通り。

使用する原液の量=希釈液の濃度(%)×希釈液の量(ml)÷原液の濃度(%)

ちなみに今回購入したキッチンハイター(原液)の濃度は6%となっています。

製造時で6%となっていますが、塩素は紫外線や熱などで分解されたり開封する度に揮発して次第に濃度は下がります。よって、原液の濃度は暗算しやすくするため5%で考えておきましょうか。

今回使ったハイターの量=0.05% × 500ml ÷ 5% = 5ml = 5ccの計量スプーン1杯

ハイター原液の濃度を6%で計算すると4ccの計量スプーン1杯分になります。

5ccのハイター原液1杯。

水道水500mlに入れて混ぜる。

混ぜた溶液をスプレーボトルに移す。このように持ち手付きの漏斗があると塩素溶液が手に触れたりしなくていいですね。スプレーボトルの容量が400mlなので、遮光ボトルに100ml余りました。

完成。ボトルの内容物が分かるように何か書いておきましょう。当院内では私しか使わないのでNaClOとだけ書いておきましたが、家族が触る可能性がある場合は「まぜるなキケン!」とか「酸性と混ぜるな」とか「キッチンハイター0.05%」などと書いておきましょう。この半透明のボトルで500ppmだと保存期間は2週間程度。400ml だと毎日使えばそのくらいで使い切ります。

ハイターから作ったこの溶液は強アルカリ性です。吸引したり皮膚に付着する事を避けるため、空中に噴霧しないでください。あくまで「消毒したい対象物に吹き付けて拭き取る」ためのものです。

厚生労働省の案内が何だかおかしい

https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/0327_poster.pdf

厚生労働省と経済産業省の特設ページ内にある次亜塩素酸ナトリウム溶液の作り方を見ると、1リットルの0.05%溶液を作るのにハイターを25ml使うということになっています。これは濃いですね。1リットルの水に25mlのハイターを入れると0.125%の濃度になってしまいます。嘔吐物や糞便の清掃用の濃度ですよ。私の知っているキッチンハイターの原液は5~6%の濃度ですが、もしかすると原液の濃度2%のハイターが存在するのかもしれない。2%なら計算が合う。カネヨブリーチの濃度は5.5%なので使用する原液の量もほぼ同じはずですが、ハイターとカネヨブリーチで原液の使用量が違うことになっているのは何故だろう?書き間違いかな。それともハイターだけ時間と共に次亜塩素酸ナトリウム濃度が下がるけど、カネヨブリーチは下がらないとか?意味が分からない。

目黒区・保健予防課感染症対策係のページは正しい

目黒区のサイト内にある次亜塩素酸ナトリウム溶液の作り方では、水500mlに原液5mlで0.05%の溶液を作れると書いてあります。目黒区の方が正しいのでこちらを参考にしてください。

最後に注意点

次亜塩素酸ナトリウム溶液は0.05%、500ppm程度の濃度でもそれなりに塩素臭がします。肌が直接触れる場所に使った場合はさらにエタノール溶液で拭きとると完璧です。肌荒れ防止に使い捨てゴム手袋を着用したり、事後に手洗いをしてからハンドクリームを塗って肌荒れを予防してください。0.05%の薄めの塩素溶液であってもサンポールや酢など酸性の溶液と混ざると塩素ガスが発生しますので注意。嘔吐物に含まれる胃酸と反応しても塩素ガスが発生します。大量に使った場合は要換気。

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Kawae Noriaki, D.C.
Cleveland University-Kansas City 2003年卒。Doctor of Chiropractic取得。カリフォルニア州開業免許およびカリフォルニア州X線技師免許取得後、現地で4年間臨床経験を積む。 2008年、さいたま市浦和に KAWAEカイロプラクティック開業。
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