車を手に入れて遠くへ行きたくなった1999年4月
98年夏に渡米後、冬を越すまでウォルマートで買った安物マウンテンバイクで何とか頑張ったものの、簡単にマイナス20℃まで気温が下がる大陸性の気候にまいってしまい車を手に入れました。93年式の赤いシボレー・キャバリアー。98年前後は所ジョージがCMに出てトヨタのエンブレムを付けたキャバリエを売り込んでましたね。ゴールドの「金キャバ」とか覚えている方はいらっしゃいますでしょうか?購入したのはあのキャバリエの前の世代の車になります。
これこれ。トヨタレンタカーでもよく使われていて、赤いキャバリアーを3回くらい借りたことがあります。直進性が良く、2.4リットルのエンジン搭載で、高速道路の運転は楽な車でした。車の鼻先の位置が分かりにくくて街中での運転はしにくかったですが、何故不人気だったのか私には分からないですね~。
ミズーリ州の運転免許証は冬の間にちょちょいのちょいで取得しました。選択すれば日本語で運転免許の試験を受けられるのですが、試験問題で縁石の「Curb」の事をそのままカタカナで「カーブ」と表記してあったりするので、試験問題が何を尋ねているのか考えながら解かないとダメです。例えば、「下り坂で駐車する時、ステアリングウィールをカーブに向けて回す。〇かXか。」など、こうした設問です。これを日本語で読んでその意味が分かるなら日本語で運転免許試験を受けても大丈夫ですが、そうでなければ英語で試験を受けた方が身のためです。路上試験は助手席の警官の指示に従って車を交通法規通りに運転し、標識の意味を聞かれたら答えるだけなので、日本で運転免許を取るよりずっと簡単ですね。
自分の場合は「Yield」でした。高速の本線に入る前にこの標識があったので「あの標識の意味は?」と聞かれ、「The traffic ahead has the right of way.」とか言って答えたはずです。費用も格安で、当時は$7だったはず。
99年の4月下旬、ちょうど春休みの時期で空いた時間が出来たのでどこか遠くへ行ってみよう!と思いつき、帰ってこれる範囲で西の方へ向かう事にしました。「タイヤにFour Seasonsと書いてあるから山越えも大丈夫だろう」と、今思えばかなり無謀な考えでまだ雪の残るロッキー山脈越えを目指したのでした。
このルートで延々と走り続けた
まず初日はコロラドのデンバーへ。カンザス州の横断に約6時間、ずっと同じ平原が続きます。カンザスシティに在住中、3回くらい竜巻警報をくらった事がありますが、あの空気がかき乱される雰囲気が恐ろしい。この夜はまだ雪の降るデンバー市内のモーテルに泊まり、翌朝は70号でロッキー山脈越えです。
ちなみに当時はデジカメをまだ持っていなかったので、ここに掲載している写真は全てフィルムカメラで撮ったものです。右下の日付が懐かしですね。表示時刻は間違ってます。
山の中はフリーウェイもクネクネ。これは右側通行の追い越し車線。
山を越えると景色が変わって赤い色が目立ってきました。カンザスやミズーリでは見られない景色なのでテンンション上がってくるぞ~!
ユタ州に入り、南下してキャッスルバレーとアーチーズを目指す。
ミズーリ、ネブラスカ、アイオワ、オクラホマの辺りは運転していると飽きてくるんですが、この辺は次から次へと珍しい風景が飛び込んできて全く飽きない。逆にカンザスは平ら過ぎて地平線が見えるので飽きずに運転できる。
このマッシュルームロックはアーチーズ国立公園で撮った写真だと思うんだけど記憶があいまい。どの岩だっけ?そこら中に風食されて出来た奇岩があって、岩の名前で憶えているのは有名なものばかり。アーチーズ国立公園の駐車場から徒歩で奥の方へ歩いていくと有名なアーチ状の岩が見えてきます。上の方にあるアーチへは行きませんでした。
グランドキャニオンはコロラド川の浸食作用によって出来たものであるのに対して、大きな川が無いこの辺りで浸食を起こすのは風と砂だそうです。地表の砂が吹き飛ばされて岩盤が残り、岩の下の砂岩が強い風と吹き付ける砂で次第にジョリジョリ削られていくそうな。2日目の夜はコロラド側、メサ・バーデ国立公園北西にあるCortezという町のモーテル、Days Inn に泊まりました。それにしても記憶が良く残ってることに我ながら感心。
3日目、奇岩の眺めを楽しんだ後は南下し、前から見に行きたかったメサ・バーデ国立公園内のプエブロ族の住居跡へ。Mesa Verde 国立公園の説明によるとこの一帯にある住居跡は西暦600~1300年頃に作られたもので、その後何らかの理由でプエブロの人々はアリゾナ北部やニューメキシコへ移住していったそうです。
まるで秘密基地のようだ!
次は南西へ進路を変え、フォーコーナーズ(Four Corners)へ向かう。
砂嵐で視界が悪く、車のエアフィルターが心配になってくる。アリゾナ、ニューメキシコ、コロラド、ユタの4州の州境が交わるフォーコーナーズの入口に着いてみるとチェーンが張られて無情にも「Closed」の文字が。ゲートの前に駐車すれば徒歩でも入れるものの、砂嵐がひどいので中に入らずモニュメントバレーへ向かいました
これは有名なきのこ岩で、メキシカンハットロックといいます。土産物店を覗くとよくこのメキシカンハットを売っている。ちなみにこの地域は米墨戦争(アメリカ-メキシコ戦争)前まではメキシコの領土でした。
この景色は有名だ。モニュメントバレーの中心地へ入ってゆく。
場所はここ。
モニュメントバレー管理施設前からの眺め。ここで久しぶりに日本語が聞こえてきた。このビュート(台形の鋭く切り立った丘)の手前の道へ降りて、砂漠をぐるっと廻るドライブをしてきます。
一番有名な、ミトンに見える東西のメサ。
下の道をドライブしていると急に空が晴れてきました。なんかもう絵画の様な景色です。
さて、モニュメントバレーはこのくらいにして、今夜はユタ州とアリゾナ州にまたがるレイク・パウエル近くの町、ページのTravelodgeで宿泊。夕食は近くの中華で。
この写真を撮った場所をGoogleマップで確認しようとしてもどこだったのか良く分からない。レイク・パウエルダムの右岸の岸辺のはずだけどそれらしき砂利道が無いな~。工事で無くなったかな?
4日目はグランドキャニオンへ向かいます。
雪が降ったり晴れたと思ったらみぞれが降り出したり、安定しない天気でした。
グランキャニオンは写真より自分の眼で見た方がいい所ですね。4日目はルート66沿いのモーテルに泊まったはずなので、アリゾナのWilliamsかFlagstaffへ向かったと思うんだけど、この辺は記憶が曖昧。
Googleマップのストリートビューを探っていたら、土産物屋がずらーっと並んでいる風景やこぢんまりした街の様子、店内のピンク色っぽい壁、コーヒーカップと皿の絵柄、テーブルのランプシェードを見つけてここはアリゾナ州Williamsの有名ステーキレストラン、Rod’s Steak Houseだと確信。店名を忘れていました。ここのステーキはとても柔らかくて、肉汁したたるレアでいただきました。あまりに美味くてお店のスタッフに写真を撮ってもらった(笑)。この夜は近辺のモーテルに泊まったはずです。カンザスシティからカリフォルニアへ引っ越す際、友人にあげてしまったけど、トカゲの壁掛けやネバダのライセンスプレートなど変なお土産を買った思い出があります。
5日目はラスベガスを目指します。手前のフーバーダムを見物するものの、人が多すぎてすぐに退散。しかし世界史で勉強した建造物をこうして目の当たりに出来ると感動しますな。
ラスベガスでは空港すぐそばのMotel 6にチェックイン。カジノへ行ってみたものの、ポーカーとかルールが分からないし、スロットを少し回して小銭が無くなっただけでした…。でも一人でシルクドソレイユのショーを見に行ったりなかなか楽しめた。ラスベガス市内で撮った写真はゼロ。
ローカルのペーパーでSkydive Las Vegas の広告を見つけて何故か挑戦する気になってしまい、電話で予約を入れてラスベガス東南にある地方空港へ到着。ヘリコプターツアーやグランドキャニオンの遊覧飛行を行う会社が事務所を構えています。事務所で受付を済ませ、奥に入るとハンガーの外に飛行機がもう準備中でした。客は自分一人。この写真の赤いつなぎを着ている人とタンデムで降下します。15,000フィート(4572m)でジャンプするよと言ってたな…。この人の名前なんだったっけ?と思い、念のためウェブサイトのMeet the Staffをチェックしてみると…いた!Mikeでした~。15,000ftに到達し、開きっぱなしのドアから外に出て飛行機の外にある手すりから手を離すと…フリーフォールの始まり始まり~。なかなか気持ちよかった。
パラシュートが開くと後はゆっくり周りの景色を楽しめます。ラスベガスのキンキラや周囲の砂漠とフーバーダムのレイク・ミード。着地は出発した空港のすぐ横の空き地でした。晴れた砂漠だから景色も良く見えるんでしょう。6日目はまたラスベガス市内泊。
翌日はカリフォルニアへ少し入る所まで行ったものの、もうこの辺で止めにしようと決断し、カンザスシティへ帰る事にしました。LAはまた今度。
7日目はアリゾナのフラッグスタッフ泊。もうこの頃になると疲れて観光する気も失せてきました。40号でニューメキシコに入ったところで北上。山の景色が良さそうなルートを選んでコロラドへ向かいます。
コールバンク峠・標高10,640フィート(3,243m)に到着。南アルプスの北岳(3,193m)より標高が高いじゃないか!標識に穴が開いているのは通りがかりの人が標識を狙って発砲した痕跡です。アメリカの田舎道を走っていると弾痕の開いた標識をよく見かけます。
今回頑張ってくれた中古のシボレー・キャバリアー。実はこの日の夜、雪の降るロッキー山脈を越える時、山道のカーブでスリップして雪の吹きだまりに突っ込んでしまった。「あ~崖に落ちる~」と思ったものの、車が傷つく事も無くスタックするだけで済んで幸いでした。タイヤが空転して動けず、すでに暗くなっていたのでとりあえず車の中で寝て夜が明けるのを待つしかないか…と思っていたらレッカー車がやって来た!おそらく通りがかりのトラックが無線で周囲に知らせてくれたりしていたんでしょうね。ありがたや~。バンパーで後から押してもらってスタックから脱出できました。費用は40ドル。高くもなく安くもない値段設定。8日目のこの夜は結構遅い時刻にSalidaで宿泊。翌日はコロラドスプリングス経由でカンザスを突っ切り、カンザスシティへ帰還しました。
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