O脚の悩み:内反膝(ないはんしつ)について

O脚の悩みを解消
目次

日本人に多いO脚について

内反膝 (Bowed Legs: Genu Varum)

O脚

膝の関節より下が内側に反った状態を『内反膝(ないはんしつ)』といいます。聞き慣れない単語ですが、足の親指の付け根から先が外側(つまり示指側)に向かって反った状態が「外反母趾」であり、小指の付け根から先が内側(つまり薬指側)に反った状態が「内反小趾」と呼ばれるのと同じ理屈です。一般的に内反膝の事を「O脚」、外反膝の事を「X脚」と呼ぶのですが、例えば米国人と比較してみると日本人にはO脚が目立つようです。骨折などのケガや病気で脚の骨が変形して内反膝になる人の割合はさほど違いが無いはずですが、普通に日本の街中を歩いていてもO脚が多く見られるのは日本人の生活習慣が原因だと考えられます。

どのような生活習慣が挙げられるかというと、例えば床で正座をする回数が多い事が一番に考えられますね。正座をするとつま先が内側を向いた、内股と同じ状態になってしまいます。しかも膝関節を完全屈曲して体重をかけていると、膝の軟骨がグリグリ押されすぎて次第にすり減っていく形になります。


概説

O脚と一言で言っても赤ちゃんに見られる生理的なもので成長と共に消えていくO脚から、ビタミンD・カルシウムなどの不足によって発生する「くる病」という骨の変形を引き起こす病気やブローント病という成長板の異常によるO脚まであります。もちろん骨の変形による病的なO脚の場合は医療機関で治療を受けるべきですが、身体の使い方という生活習慣に原因がある内反膝・O脚の場合は手技療法を組み合わせることで矯正が可能です。以下、赤ちゃんに見られる自然なO脚や病的なO脚についての簡単な説明を記しておきます。

生理的O脚

一般的に2歳以下の幼児に見られる内反膝・O脚は成長の過程でごく普通に見られるもので、異常でも何でもありません。赤ちゃんをあお向けにすると両脚がカエルの様になりますね。立った時に膝の間の開きが残っているのが生理的O脚です。この時期に股関節が形づくられますので、無理に下肢をまっすぐ伸ばしたりしないようにしましょう。股関節の脱臼が起こる可能性があります。ただし2歳を過ぎてもO脚がひどくなってきた場合、それはブローント病など病的なO脚である可能性が高くなります。大多数の通常の赤ちゃん達は立って歩き始めて成長を続けるうちに膝は真っ直ぐになっていきます。5-6歳の頃に多少X脚気味になる子も多いですが、また真っ直ぐに戻ります。

ブローント病

身長の伸びが著しい幼児期・思春期に見られるものです。すねの骨(脛骨)の上端(膝関節の部分)にある骨端成長板に異常があり、例えば成長板が内側に未発達の場合、膝の外側ばかり骨が伸びてしまって膝から下が内側に曲がってしまう変形を引き起こします。

これは当院でのO脚矯正の対象ではありません。


くる病

骨の成長に必要不可欠なカルシウム・リン・ビタミンDが不足すると成長板に異常が発生して、脚以外の骨も変形する病気がくる病です。栄養を十分に摂取できる先進国における発生はまれです。これも骨自体が変形するものなので、当院でのO脚矯正の対象ではありません。

O脚に伴う症状と徴候

O脚は格好悪いだけではなく、膝関節痛や腰痛を引き起こします。また膝の内側に負担がかかりすぎる状態になるため、放置していると年を取ってから変形性関節症へと進行します。

  • 膝の外側にある靱帯の痛み
  • 腰痛
  • 太腿の外側の腱がこすれてパキッパキッと音がする
  • すねの脛骨と腓骨間の関節のずれ
  • 足首の関節の歪みや痛み

O脚とは単に膝の外見上の問題だけではなく、膝関節の靱帯や半月板や軟骨、股関節や足首、骨盤の歪みの問題に関わってくるものです。他国と比べると日本人のお年寄りで膝を悪くしている方が非常に多いのですが、これはO脚になる生活習慣と非常に密接に関わっています。

O脚の原因となる生活習慣とは何か?

街中で歩く人々を観察していて気付くことは、日本だと内股で歩く人が女性に多いという事です。イスに座るよりも床の上で生活する習慣を持つ人が多い日本では、例えば上の方で述べたように、正座をすることでつま先が内側を向くことが助長され、内股な人が多くなります。いろいろな原因によって内股になるクセが付くと膝のお皿がいつも内側を向いた状態になり、起立した時に膝の間が開いてO脚になってしまうのです。

内股になるクセによってO脚になっているものの、まだ関節の変形が起きていないのであれば、筋トレや骨盤・膝・足首のアジャストでO脚の矯正は十分に可能です。試しに両膝の間の空間が閉じるかどうか、鏡を見ながら試してみて下さい ↓

O脚を改善出来るかどうか簡単セルフチェック!

  • 1.起立して背筋を伸ばし、足を揃えます。
  • 2.お尻の筋肉に力を入れてお尻をギュッと締めます。すると大腿骨が外旋して膝のお皿が外側を向きます。
  • 3.太腿の内側に力を入れて膝の内側同士を付けるよう努力してみて下さい。
  • 4.お尻と太腿の内側の筋肉に力を入れてO脚が無くなる場合、骨盤などの関節の矯正と組み合わせることでO脚の改善に十分な余地があります。

対処法

「内股」という身体の使い方のクセによってO脚になっている場合、1日やそこらで治るということはありません。それなりの時間と施術回数が必要になります。当院でのO脚矯正では、次のような施術をおこないます。(※内容には個人差があります)

  • 股関節・腰椎周り・下肢の筋肉の緊張を緩和
  • 膝の脛腓関節と股関節をアジャスト
  • 腰椎と骨盤の矯正
  • 足首の関節をアジャスト
  • 「内股」のクセを取るための筋トレ・ストレッチ
  • ラバーチューブを利用して膝関節の「リセット」

O脚矯正の効果を出来るだけ持続させるため、自宅や職場、通勤列車内でもできるエクササイズなどもお教えします。

O脚の改善に必要な回数や期間の目安

関節まわりの靱帯や腱、筋肉の柔軟性や年齢によってもちろん個人差があります。10~20セッションを2ヶ月以内に受けて下さい。できるだけ短期間のうちに集中的な施術を受けると効果的です。

平均年齢が高い日本人は年をとってから膝も含めて関節の変形に悩む人が多いです。O脚は外見上の問題だけでは無く、関節の変形の原因の一つでもあります。より健康な生活を送れるようにするため、O脚が気になる方は是非当院へご相談ください。

参照した文献
  • Yochum & Rowe. Essentials of Skeletal Radiology 2/e Williams &Wilkins, 1996
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