繊維筋痛症:全身のつらい痛み、倦怠感、だるさ

繊維筋痛症
目次

かなり慢性的な全身の鈍い痛みをなんとかしたい

症状:全身の慢性的なだるい痛み
年齢・性別・職業:
Nさん 36歳 女性 会社員
経緯:約10年前からひどくなってきた全身の倦怠感、鈍痛~ズキズキする痛み。リウマチ科の先生に繊維筋痛症ではないかと言われ、その説明に一番納得できた。鍼灸や心療内科にも通っているが、骨格の面からの改善も目指したい。

まとめると:
●デザイン関係の仕事で精神的・肉体的なストレスがひどい。
●20代後半は肩こり・頭痛がひどかったが、鎮痛剤を飲む程度で他に何もしなかった。ふと気付くと肩こりだけではなく、全身あちこち痛い。
●あちこちの病院へ通ったが、鎮痛剤や電気療法では改善しなかった。
●2年前、リウマチ科の先生に繊維筋痛症ではないかと言われ、その症状についての説明を受けて最も納得できた。その先生に鍼灸と心療内科の紹介を受けて定期的に通院中。
●鍼灸の先生に身体のゆがみもひどいから治した方が良いよと言われ、カイロプラクティックへ。

この症例についての施術内容

初回来院時の状態:
Nさんは2年前すでに繊維筋痛症と診断され、全身の鈍痛・疼痛・だるさ・無気力感の改善のための治療をある程度うけているので、慢性的な肩こり・腰痛の患者さんとあまり変わらない第一印象がありました。

カウンセリング・検査:
お仕事はデザイン関係で、パソコンで細かい作業をする事も多く、締め切りに追われて精神的に追い詰められた状態になると全身の痛みが我慢できなくなる。心療内科の先生に処方された薬を指示通り服用しているので、昔のようなひどい精神的な落ち込み方はしなくて助かっている。鍼灸の先生の治療を受けるようになってから身体の痛みやひどいコリもだいぶ和らいだものの、背骨と骨盤のゆがみをしっかり治してもらった方が良いということで当院を紹介していただきました。
繊維筋痛症の場合は決まったトリガーポイントに圧痛が現れるのでチェックしてみると、左前腕を除き全てのポイントで痛みが出現(左上の図を参照)。昔はこのトリガーポイントを押されると飛び上がるほどの痛みがあったものの、今では「う”~ん」と声を上げる程度で済んでいる。自覚症状を挙げていただくと、「全身の痛み、倦怠感、寝付きの悪さ、不安感、お腹の調子の悪さ(下痢)」。しかし以前とくらべるとかなり改善しているとのこと。20歳頃に交通事故でムチウチ症の既往歴あり。病院の血液検査でリウマチ因子は陰性。X線検査ではストレートネックだねと言われた事以外、異常なし。運動は特にしていない。血圧は高め。
姿勢分析をしてみると、猫背や胸椎の固さが目立ち、肩がかなり丸まっている。第1頸椎(C1)・第5頸椎(C5)・第5胸椎(T5)のゆがみがあり、周囲の筋肉がガチガチになっている。

分析:
繊維筋痛症 (Fibromyalgia) は全身の鈍い痛みが特徴の、疲労感・睡眠不足・下痢などの胃腸障害・慢性的な頭痛などを伴う障害で、原因はよく分かっていません。ただし、大けがをした事のある人や精神的なトラウマを抱える人によくみられる事から、痛みを脳に伝える神経伝達物質の分泌量が必要以上に増えてしまい、脳が痛みに対して過剰反応を引き起こしているのが繊維筋痛症の仕組みなのでははないかと言われています。治療方法としては鎮痛剤や抗うつ剤、抗てんかん薬が病院では処方され、一定の効果があります。Nさんの場合、鎮痛剤は強いものに変えても効果はほとんどなく、抗うつ剤を服用する事でようやく症状が和らいできたそうです。鍼灸治療を受けると固まった筋肉への血流が良くなったり、神経伝達物質の量に変化が現れるので、鍼灸もNさんには効果的だったようです。しかしながら鍼灸は繊維筋痛症に対して有意な効果が無いとする文献もあります。(参照:National Institutes of Health
Nさんの背骨をチェックするとC1のゆがみが大きく、右側の突起が非常に出っ張った状態。C1やC2のゆがみは頭痛の主な原因となりますし、カイロプラクティックの世界でもこの上部頸椎のみを施術の対象にする先生が大勢います。胸椎は非常に固く、通常ある弾力性が無い。当院には肺活量を測定する器具が無いので断定できませんがNさんの呼吸は浅そうです。以前と比べるとマシなのかもしれませんが、身体の緊張が強いので背骨のゆがみを整えながら筋肉や関節をゆるめ、精神的にも肉体的にもリラックスできるようになるためのお手伝いをしたいと思います。

プラン:
まず全身の筋肉をほぐしながら、トリガーポイントをリリースする。最初のうちはアクティベーターを用いて背骨のゆがみを調整。慣れてきたらしっかりアジャストしたいと思います。枕の高さや、デスクワーク時の姿勢、肩こりエクササイズの指導も必要。心療内科、鍼灸の治療も引き続き受けてもらいます。

1回目(当日): 鍼灸治療などを受ける前と比べると良くなっているとはいえ、首肩周りの筋肉はガチガチ。今現在の身体の痛みの度合いを尋ねると8-9/10。僧帽筋のトリガーポイントを押すと後頭部の頭痛が「ズーン」と現れる。同じような関連痛(Reffered pain) が現れるトリガーポイントがあちこちにある。C1・C5・T5をアクティベーターで調整。C1のゆがみは無くなって可動域も正常になったものの、おそらく筋肉の固さにクセがあるのでまた元に戻るでしょう。肩こりエクササイズをお教えして、仕事中は1時間に1回やっていただく。次回はあまり間隔を空けずに来ていただきます。
2回目(2日後):痛みの度合いは10点中6-7点。前回と同様の手順で施術をおこなった。C1、C5、T5にアクティベーター、L5、骨盤をアジャスト。
3回目(3日後):痛みの度合いは6/10。朝は良かったものの、夕方になってくると身体がダル重くなってくる。横向きで寝るのが好きだということで、オススメしておいた高さのある枕と抱き枕を使い始めてくれたそうです。C1、C5はアクティベーター、胸椎と骨盤はマニュアルでアジャスト。
4回目(3日後):この1週間、お腹のグルグルする感じや軟便が無い!と喜んで報告していただけました。座位で胸椎の可動域をチェックすると、初回の来院時と比べて明らかに動きが良くなっています。肩甲骨の間の詰まった感覚も少なくなったそうです。アクティベーターを使わずに一通りアジャスト。次回は5~7日後くらいで。
5回目(5日後):痛みの度合いは5/10。前回の施術の後、肩をグルグル回しても引っかかる感じが無くなって首肩がスッキリした。最初に考えたとおり、かなり慢性的な症状を一発で治すのは難しいため、引き続き当院で治療を受けてもらいます。次回は7日後、様子を見ながら10日後、2週間後と来院頻度を徐々に拡げていきたいと思います。

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