良くあるめまい:良性発作性頭位性めまい症

良性頭位性めまい症について
目次

カイロプラクティックによる対処法について

良性発作性頭位性めまい

BPPV:Benign Paroxysmal Positional Vertigo、つまり良性発作性頭位性めまい症とは、いくつかあるめまい症の中で最もよく見られるもので、急に起き上がったり振り向いたり、頭の向きを変えた時に発生するめまいです。頭の向きを変えることで、吐き気など他の症状と共に眼振(がんしん:眼の黒目がピクピク左右に動いたりする)を伴うめまいを感じるのですが、その症状の強さは人によって異なります。比較的女性に多く(64%)、年齢別に見ると50代の人に最も多く発生します。

良性発作性頭位性めまい症の起こる仕組み

三半規管の感覚細胞(Cupula:クプラ)に耳石のような比較的重いものが付着している現象(クプラ結石症)が1962年に発見され、しばらくの間この目眩症は三半規管の感覚細胞そのものの問題であると考えられてきました。しかし1980年に別の研究者が三半規管の「管(カナル)」の中を耳石の様な物質が自由に動いてしまう事でめまいが起きてしまうという説(カナル結石症)を唱え、今では大半のBPPVでカナル結石症が発症していると考えられるようになってきています。

良性発作性頭位性めまい症の起こる仕組み

この図は三半規管の中にある浮遊耳石を示したものです。頭がまっすぐ立っている状態で、何らかの理由により耳石が後半規管の下部にたまっています。頭の向きを変えたときにこの耳石が移動し、同時に半規管内のリンパ液が流れて膨大部のクプラが刺激されて眼振が発生するという考え方がカナル結石症です。この耳石を移動させて後半規管から排出させてめまいが起こらないようにさせる手技療法(エプリー法など)があり、特殊な器具を使わず患者さんの頭の向きや体位を操作するだけで比較的簡単に耳石による影響を排除することができます。練習すれば患者さん自身でエプリー法などを実践出来ますが、頭の向きや身体の曲げ方など客観的に見ながら操作した方が良いと思いますので、初めのうちは施術者にお任せください。

良性発作性頭位性めまい症の症状と徴候

めまい・眼振

このめまい症では、頭がある特定の向きになった時、つまり寝返りをうった時や急に起き上がったりした時、めまいの発作に突然襲われます。発作は数秒~数分続くことがあり、めまいの強さは様々です。めまいを感じながら仕事や日常生活をとりあえず続けられる人もいれば、吐き気がひどくて全く身動きできなくなる人までいます。

三半規管は左右両側にあり、どちら側がめまいの原因となっているのか確かめる必要があります。確認するための手段はいくつかありますが、Dix-Hallpike法などを用いる事で左右の耳どちらが原因なのか判断し、さらに眼振の向きを見ることでどの半規管に耳石が入り込んでいるのか確認します。

めまいを起こす他の原因

  • 頭部への外傷
  • 運動不足
  • 急性アルコール中毒
  • 中枢神経の疾病
  • 脳への血流低下
  • 耳硬化症
  • 中耳炎
  • 耳の前庭神経炎
  • メニエール病
  • 肩こり・首こり

めまいの原因は様々で、良性発作性頭位性めまい症と上記の疾患などと区別するために、病院ではMRIなどの検査をする事もあります。

良性発作性頭位性めまい症へのカイロプラクティックによる対処法

肩のマッサージ

当院に来られる患者さんでめまいを訴える方のほとんどは耳鼻科で検査を受けたことがあります。MRIを受け特に異常は無いと言われたけれど、めまいや気分の悪さが続くとおっしゃる方が多いですね。患者さんからの話を聞いて頭位性のめまいであることが推測出来る場合、まずはBPPVを疑います。そして首・肩の筋肉や関節を触診してみるとガチガチに固くなっているケースがほとんどです。めまいへの対処法としてのDix-Hallpike やエプリー法、セモン法は米国のカイロプラクティック大学でも教えられています。台の上に患者さんを座らせて、頭の向きを変えたり上半身を倒したり起こしたりするだけなのでそれほど特殊な事をするわけではありません。

エプリー法などの理学療法と共に頸椎・上部胸椎へのアジャスト、周囲の筋肉の緊張をやわらげる施術をおこなっていきます。それで頭位性のめまいの方は数回以内の施術で改善しますが、首肩のコリや関節の動きの悪さといった慢性的な要因からくる不快感を改善させるにはやはりそれなりの回数・時間を必要とします。

めまいを起こす疾患で一番代表的なものが「良性発作性頭位めまい症」であり、MRI検査などで中枢神経に異常が無いと分かっていれば、めまいの症状の改善にさほど手間はかかりませんのでカイロプラクティック・ケアを試してみて下さい。

参照

  • Diagnosis and management of BPPV. CMAJ. 2003:169:681-693
  • The Epley  maneuver for BPPV. Cochrane Database Syst Rev. 2004;2:CD003162
良性頭位性めまい症について

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よければシェアしてくださいませ~
  • URLをコピーしました!
目次